末梢血管用ステントグラフトについて

末梢血管用ステントグラフトについて

ステントグラフトとは人工血管と金属のバネ(ステント)を組み合わせたもので、カテーテル操作により動脈内に挿入するとバネにより自ら拡張し動脈壁に固定されます。本邦では2006年より大動脈疾患用のステントグラフトが保険適応となりましたが、2016年より末梢血管用のステントグラフトも保険適応となりました。
当院は浅大腿動脈ステントグラフト(末梢血管用ステントグラフト)認定施設となっています。

末梢血管用ステントグラフト

末梢血管用ステントグラフトの適応疾患

現在、末梢血管疾患(閉塞性動脈硬化症)、血管損傷、人工血管透析シャント吻合部狭窄に対して保険適応となっています。末梢血管疾患は、動脈硬化に伴い血管が狭くなったり閉塞してしまう病気です。症状はさまざまありますが、安静にしていても足が痛い場合や足に潰瘍や壊死をきたしてしまっている場合は血行再建(血流を改善させる治療)が必要になります。末梢血管疾患に対する血行再建は外科手術(バイパス手術など)とカテーテル治療が行われていますが、閉塞範囲が長い場合や動脈硬化で血管が高度に硬くなってしまった症例ではカテーテル治療の成績が悪くなります。末梢血管用ステントグラフトはこれまでカテーテル治療が不向きであった病変に対しても良好な成績をおさめています。
血管損傷に対しては、外傷などにより血管が傷つき、出血をきたしてしまった場合にステントグラフトにて出血部位を塞ぐことで止血を行います。体の深い部分の出血では体に切開を加えることなくカテーテルにて素早く治療が可能であり非常に有用です。
当科では、外科治療とカテーテル治療を組み合わせたハイブリッド治療を行っています。それぞれの利点を組み合わせることでより効果的な治療を行う事が可能となります。末梢血管用ステントグラフト挿入後は、ステント閉塞予防のため抗血小板薬(血液を固まりにくくする薬)の内服が半年以上必要となります。