教授挨拶

獨協医科大学 心臓・血管外科学 福田 宏嗣

ホームページを約10年ぶりに改定しました。 今回の改定では、当教室の診療、研究、教育に関してその特徴を分かりやすくご提示するとともにスマホやタブレットでの視聴にも対応するようにしました。 当教室を都合よくご利用いただきますとともに、また今後もご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

教室の歴史

前身の胸部外科講座は大学病院開院の1974年7月に開講しましたが、開講当初は心臓血管外科領域の診療は行っていませんでした。しかし二代目の嶋田晃一郎教授が慈恵医大や女子医大の協力を得て、岡村吉隆先生(和歌山県立医科大学前理事長、名誉教授)を中心としたチームで1991年10月29日に第1例目の開心術を行いました。その後、症例数は順調に増加し北関東エリアの中核施設へと成長し、2010年4月「心臓・血管外科学講座」として独立しました。この年の6月から獨協医科大学日光医療センターで血管外科領域の手術を開始し、現在では心臓・大血管領域 約300例、末梢血管領域 約300例、合計600例あまりの手術をさせていただいています。

教室の理念

当科が主に関係している日本心臓血管外科学会の理念に当科のキーワード「熱意、誠意、創意、和、技術(匠)」を加えて、当科の理念としています。
高い倫理性と国際的視野を持ち、心臓・血管外科領域における質の高い医療によって人々の健康と福祉の増進を目指し、患者とともに歩みます。

  1. 熱意、誠意をもって質の高い医療を提供します。
  2. 多職種との良好なチームワーク(和)を構築し安全で良質な医療の提供に貢献します。
  3. 地域の人々の健康増進のため心臓・血管外科疾患に対する啓発活動を行います。
  4. 創意をもって心臓・血管外科の研究を推進し、医療の進歩に貢献します。
  5. 優れた知識・技術・指導力そして国際的視野を持った次世代の心臓・血管外科医を育成します。

臨床

心臓外科領域の病気と血管外科領域の病気のそれぞれの専門家を抱え、最先端の治療方針、治療方法を患者さんご本人とご家族と相談しながら適切な治療を提供させて頂きます。最後の砦である特定機能病院として「心臓移植」以外の全ての治療手段を駆使し、最重症の患者さんにも対応いたします。更に手術後のquality of life(生活の質)を保つために、或いは改善するために低侵襲(身体に優しい)心臓血管手術に力を入れています。

臨床の特徴

心臓外科のみでなく血管外科領域のあらゆる治療を行う

重症虚血肢の治療
足関節レベルへのバイパス(栃木県で唯一実施)
カテーテル治療(ステントグラフト、ステント、バルーン)
循環器内科・形成外科との協働
シャントアクセス困難例
人工血管使用、シャント血流制限、シャント瘤、表在化など
頸動脈狭窄の治療
カテーテル治療、内膜摘除術
珍しい疾患(内臓動脈瘤、膝窩動脈瘤など)

低侵襲心臓・血管手術

経カテーテル心臓弁膜症治療
TAVI=専門施設認定取得(栃木県初)
僧帽弁のカテーテル治療=Mitraclip
右小開胸による心臓弁膜症手術
僧帽弁、大動脈弁

低侵襲心臓・血管手術

経カテーテル大動脈瘤治療
(TEVAR, EVAR)
胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤
下肢静脈瘤
カテーテル治療(レーザー、高周波)

Quality of lifeを高める手術

大動脈弁形成術(弁置換でなく、自己弁を温存)
心房細動を治す手術(MAZE手術)

最重症心不全に対する治療

植込み型補助人工心臓 ⇒ 心臓移植へ
経カテーテル左室補助装置

研究

大学のもう一つの重要な使命は研究です。当科では院内他科や基礎教室、院外施設との共同研究を積極的に進めています。今後も臨床面における問題点を克服するための臨床にFeedbackできる研究を行い、心臓血管外科の進歩に微力ながら貢献できるよう努力してまいります。

教育

近年、3K職の一つである外科、特に心臓・血管外科医の減少が小児科、産科などと同様に顕著です。厚労省のある調査で診療科別医師の意識調査をしたところ、心臓血管外科医では自分の生活より診療を優先する率が圧倒的に多いという調査結果がありました。この仕事バカの医師群に新たに加わり、将来の日本そして世界の心臓・血管外科を牽引する外科医になりませんか?
当科では早くから執刀機会を与え更に国内、海外への留学を促し広い視野を持った「切れる外科医」であるとともに将来の心臓血管外科を創造する創意あふれたacademismを併せ持った外科医を育成したいと考えています。また教室の運営方針は、「人は財産。各人には自立を促し足りない部分を補い共生する」を方針としています。働き方改革を先取りし、診療ではチーム制を導入しon offを明確化し各人が疲弊しないように工夫しています。また各人の多様性を尊重し、毎年キャリアアップの希望を聞きながら研修先などを決めています。
心臓・血管外科に興味のある医学生、心臓・血管外科を専攻しようと考えている先生方の参加をお待ちしております。

今後もご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

また心臓・血管外科に興味のある医学生、
心臓・血管外科を専攻しようと考えている先生方の参加をお待ちしております。

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