2014年 心臓・血管外科 Annual Report

2014年の手術統計(獨協医科大学病院及び日光医療センターの総計)

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2014年 2013年 2012年
全手術症例数 657例 612例 567例
心臓・胸部大血管手術
(開心術+OPCAB+胸部大動脈瘤の経皮的ステントグラフト内
挿術(TEVAR)+TAVI)
256例 285例 290例
先天性心疾患 8例 8例 21例
虚血性心疾患 100例 120例 125例
心臓弁膜症 79例 99例 93例
胸部大動脈瘤 53例 50例 52例
うち経皮的ステントグラフト 23例 30例 28例
その他の開心術 16例 11例 9例
腹部大動脈瘤 60例 75例 85例
うち経皮的ステントグラフト 23例 30例 28例
その他の開心術 16例 11例 9例
腹部大動脈瘤 60例 75例 85例
うち経皮的ステントグラフト 38例 53例 60例
末梢血管疾患 324例 207例 119例
その他 64例 64例 59例
緊急不応需症例 38例 43例 38例

獨協医科大学病院

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総手術数 402例
心臓・胸部大血管領域 302例
先天性
開心術 8例 PDA 9例
17例
冠動脈
単独 on pump 63例 複合(CABG±弁±大動脈) 24例
on beating 4例 MI合併症 5例 OPCAB 1例
100例
心臓弁膜症
A弁 27例 M弁 14例 複合 27例
基部置換または弁+上行 6例 MAZE 8例
79例
胸部大動脈瘤
解離 21例 TAA 9例
TEVAR 23例
53例
その他の開心術(VAD 5例含む) 16例
その他 44例
末梢血管領域 100例
AAA 36例(開腹 10例、EVAR 26例) 36例
ASO 7例
内シャント関連 14例
血栓除去 16例
静脈瘤 3例
その他 24例

獨協医科大学病院日光医療センター

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総手術数 248例
AAA(開腹 12 例、EVAR 12 例) 24例
ASO
(バイパス 12例、うち下腿バイパス3例)
15例
血管内治療 5例
内シャント関連
(初回 18例, 2 回目以降 23例, シャントPTA 31例)
81例
血栓除去 6例
下肢静脈瘤
(ストリッピング 65例、レーザー治療 33例)= 89肢+44肢
98例
CEA 1例
その他 18例
  • 手術統計の詳細は上記の通りで、手術総数、心臓・胸部大血管手術、AAAを含む末梢血管領域手術は657例、256例、324例でした。主な疾患では虚血性心疾患100例、心臓弁膜症79例、胸部大動脈瘤53例、腹部大動脈瘤60例、末梢血管疾患324例などです。
  • 心臓・胸部大血管手術は256例と前年より減少しました。予定手術枠(週4枠)は同じですので物理的に手術症例数の増加は限界に来ています。
  • 手術統計の詳細は上記の通りで、手術総数、心臓・胸部大血管手術、AAAを含む末梢血管領域手術は657例、256例、324例でした。主な疾患では虚血性心疾患100例、心臓弁膜症79例、胸部大動脈瘤53例、腹部大動脈瘤60例、末梢血管疾患324例などです。
  • 最重症心不全を呈した5例に対し左室補助人工心臓を装着。うち1例は植込型補助人工心臓を装着しました。現在自宅退院し間もなく職場復帰し心臓移植までの待機する予定です。
    1例は心機能が回復し補助人工心臓を抜去し(bridge to recovery)元気に退院しました。
    植え込んだ補助人工心臓Jarvik2000
  • 心臓弁膜症では僧帽弁の弁形成手術はもちろん、引き続き大動脈弁領域でも若年者では弁形成手術および大動脈弁温存大動脈基部置換術を積極的に取り入れています。昨年は3例に行い良好な経過です。

  • 血管外科手術のスペシャリスト、緒方孝治講師、松下 恭講師のチームへの参加でこの領域の守備範囲が広がり昨年に引き続き末梢血管領域の手術は大幅に増加しました。
    特に頸動脈狭窄症に対する内膜摘除術も行い合併症なく退院されました。
  • 日光医療センターでは一昨年7月より下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術を開始し、昨年は33例に施行いたしました。
  • 緊急対応できず止む無くお断りした症例は例年通り38例と横ばいでした。

今後の取り組み

(1) ハイブリット手術室の完成

ハイブリット手術室(カテーテル室と手術室の機能を併せ持った部屋)が2015年1月に完成し3月から運用開始できます。これにより次に述べる経カテーテル的大動脈弁置換術が可能になるだけでなく、大動脈瘤に対する経皮的ステントグラフト内挿術も画像が見やすくなることから造影剤使用量の減少、放射線照射量の低減、手術時間の短縮、手技の確実性向上など大きな効果が期待できます。更にこのハイブリット手術室は救急治療室に隣接して設置されるため、大動脈瘤破裂症例などの緊急症例にも迅速に対応でき救命率向上にも大変有用であると期待されます。

(2) 経カテーテル的大動脈弁置換術の導入

ハイブリット手術室が完成し、近々に経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)を開始予定です。これにより開胸手術が躊躇われた高齢者の重症大動脈弁狭窄症の患者さんにも治療の選択肢をご提供できるようになります。

(3) 継続して、患者に資するQUALITY の高い手術の実践

ハイブリット手術室が完成し、近々に経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)を開始予定です。これにより開胸手術が躊躇われた高齢者の重症大動脈弁狭窄症の患者さんにも治療の選択肢をご提供できるようになります。

低侵襲心臓・血管手術

 大動脈瘤に対する血管内治療 → より複雑な病変への対応
                枝付きステントグラフトの導入
 右小開胸による弁手術(MICS)→ 僧帽弁、大動脈弁
 下肢静脈瘤に対するレーザー治療(日光医療センター)

Qualityの高い手術

 僧帽弁・大動脈弁の弁形成手術
 重症心不全に対する植込型補助人工心臓(在宅プログラム)
 重症虚血肢に対する膝下、足関節レベルへのバイパス手術

(4)日光医療センターで昨年から透析患者の受け入れが可能になり、透析患者のブラッドアクセス作成、アクセストラブルへの迅速な対応、および透析患者に多い重症虚血肢への対応も積極的に行っていく予定です。

■他に経年的に継続して行っている取り組み

(5) mortality & morbidityの改善

(6) 患者さん達への啓蒙 -早期発見と早期治療へ向けて-

(7) 緊急対応の充実

最後に今年度も引き続きご指導、ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

■スタッフ:2014年4月~

主任教授 福田 宏嗣
准教授 山田 靖之
講師 緒方 孝治 =血管外科担当
講師 松下 恭  =血管外科担当(日光医療センター)
講師 柴崎 郁子
講師 井上 有方 =血管外科担当
助教 桒田 俊之
助教 堀  貴行
助教 小川 博永
助教 土屋 豪  =心臓病センター榊原病院 心臓血管外科研修
助教 清水 理葉 =血管外科担当(日光医療センター)
助教 武井 祐介
助教 関  雅浩 =心臓血圧研究所附属病院 心臓血管外科研修
助教 桐谷 ゆり子=群馬県立心臓血管センター 心臓血管外科研修
助教 加藤 昴  =済生会宇都宮病院 外科研修
レジデント 金澤 裕