2009年 心臓・血管外科 Annual Report

2010年4月1日より胸部外科学講座が心臓・血管外科学と呼吸器外科学の2講座に分離されることになりその一方、心臓・血管外科学講座を私が担当させていただくことになりました。前身の胸部外科講座は大学病院開院の1974年7月に開講しましたが、開講当初は心臓・血管外科領域の診療は行っていませんでした。しかし二代目の嶋田晃一郎教授が慈恵医大や女子医大の協力を得て、岡村吉隆先生(現和歌山医大第一外科教授)を中心としたチームで1991年10月29日に第1例目の開心術を行いました。その後、症例数は順調に増加し近年では150-200例の開心術を行う北関東エリアの中核施設へと成長し、この度「心臓・血管外科学講座」として独立しました。

2009年の手術統計

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全手術症例数 335例
心臓・胸部大血管手術
(開心術+OPCAB+胸部大動脈瘤の経皮的ステントグラフト内
挿術(TEVAR))
211例
先天性心疾患 13例
虚血性心疾患 97例
心臓弁膜症 77例
メイズ手術 24例
胸部大動脈瘤 24例
経皮的ステントグラフト 5例
その他の開心術 6例
腹部大動脈瘤 63例
経皮的ステントグラフト 34例
末梢血管疾患 35例
その他 20例

手術の詳細は上記の通りで、手術総数335例、そのうち211例のMajor cardiovascular surgeryをさせていただきました。主な疾患では虚血性心疾患97例、弁膜症77例、胸部大動脈瘤24例、腹部大動脈瘤63例などです。残念ながら救命できなかった症例が10例あります。待機例4例、緊急例6例で、多くは術前から多くのリスク因子を持った症例でした。しかし重症例でも一人でも多くの患者様を救命できるようICU専属医、循環器内科医とmortality/morbidityカンファレンスを開き、問題点など話し合い今後に繋げるようにしています。

2011年の取り組み

当たり前ですが一人ひとりの患者様に最善を尽くすことです。その中で引き続き、大動脈瘤に対する経皮的ステントグラフト内挿術などの低侵襲手術や弁形成術などのQOLを重視した手術を目指して行きたいと考えています。

また体制として私たち、心臓・血管外科は胸部外科の一部門でしたが4月からは心臓・血管外科と呼吸器外科に分離独立する予定です。講座(診療科)名も「心臓血管外科」ではなく「心臓・血管外科」としこれまでどちらかというと心臓・大血管疾患を中心に扱っていましたが、血管外科領域も守備範囲を広げて扱ってゆく予定です。昨年来、多くの患者さまをご紹介いただき大変感謝いたしておりますが、手術枠の関係で多くの患者さまに長期間の手術待機期間を要しご迷惑をおかけしています。直ちに全面解決する方法はありませんが、分院である日光医療センターでの新たな展開などを模索してまいりたいと考えています。

ドクターヘリの運航

今年1月20日からは当院を基地とするドクターヘリの運航が始まり、当科でも大田原から急性解離の症例を搬送し手遅れにならずに手術することができました。これからも院内各部署と連携し、皆さまに信頼される心臓・血管外科を目指してまいりたいと思いますので今年も引き続きご指導、ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。