2013年 心臓・血管外科 Annual Report

2013年の手術統計(獨協医科大学病院及び日光医療センターの総計)

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2013年 2012年 2011年
全手術症例数 612例 567例 475例
心臓・胸部大血管手術
(開心術+OPCAB+胸部大動脈瘤の経皮的ステントグラフト内
挿術(TEVAR))
285例 290例 261例
先天性心疾患 8例 21例 13例
虚血性心疾患 120例 125例 108例
心臓弁膜症 99例 93例 84例
胸部大動脈瘤 50例 52例 58例
うち経皮的ステントグラフト 30例 28例 26例
その他の開心術 11例 9例 10例
腹部大動脈瘤 75例 85例 87例
うち経皮的ステントグラフト 30例 28例 63例
末梢血管疾患 207例 119例 83例
その他 64例 59例 32例
緊急不応需症例 43例 38例 34例

獨協医科大学病院

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総手術数 404例
心臓・胸部大血管領域 320例
先天性
開心術 0例 PDA 8例
8例
虚血性心疾患
単独 on pump 66例 複合(CABG+弁) 26例
on beating 20例 MI合併症 2例 off pump 6例
120例
心臓弁膜症
A弁 39例 M弁 15例 複合 31例
基部置換または弁+上行 14例 MAZE 14例
99例
胸部大動脈瘤
解離 20例 TAA 5例
TEVAR 30例
50例
その他の開心術(補助人工心臓4例を含む) 11例
その他 27例
末梢血管領域 82例
AAA 27例(開腹 11例、EVAR 16例) 27例
ASO (バイパス 9例、PTA 0例) 9例
内シャント関連 17例
血栓除去 9例
下肢静脈瘤 6例
その他 14例

獨協医科大学病院日光医療センター

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総手術数 248例
AAA(開腹 12 例、EVAR 12 例) 24例
ASO
(バイパス 21例、うち下腿バイパス8例)
15例
血管内治療 5例
内シャント関連 35例
血栓除去 15例
下肢静脈瘤
(ストリッピング 65例、レーザー治療 33例)= 89肢+44肢
59例
その他 23例
  • 手術統計の詳細は上記の通りで、手術総数、心臓・胸部大血管手術、AAAを含む末梢血管領域手術は612例、285例、282例でした。主な疾患では虚血性心疾患120例、心臓弁膜症99例、胸部大動脈瘤50例、腹部大動脈瘤75例、末梢血管疾患207例などです。
  • 心臓・胸部大血管手術は285例と前年とほぼ横ばいでした。予定手術枠(週4枠)は同じですので物理的に手術症例数の増加は限界に来ています。虚血性心疾患、心臓弁膜症とも無治療または初回発症で重症化し術前からIABP, PCPSなどの補助循環が必要な症例が多く見られましたが、その多くは麻酔科、ICU、内科等との円滑なチーム医療で救命できました。
  • 最重症心不全を呈した症例4例に対し左室補助人工心臓を装着、うち1例を救命し植込型補助人工心臓を装着しました。現在、自宅退院へ向かってリハビリ中であり心臓移植までの約2年を自宅にて待機する予定です。

  • 心臓弁膜症では僧帽弁の弁形成手術はもちろん、大動脈弁領域でも若年者では弁形成手術および大動脈弁温存大動脈基部置換術を積極的に取り入れています。昨年は2例に行い良好な経過です。

  • 血管外科手術のスペシャリスト、緒方孝治講師、松下 恭講師のチームへの参加でこの領域の守備範囲が広がり昨年に引き続き末梢血管領域の手術は大幅に増加しました。
    特に頸動脈狭窄症に対する内膜摘除術も行い合併症なく退院されました。
  • 日光医療センターでは昨年7月より下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術を開始し、19例に施行いたしました。
  • 緊急対応できず止む無くお断りした症例が43例と更に増加しました。ほとんど超緊急手術が必要な大動脈解離または大動脈瘤破裂症例です。手術室が慢性的に不足状態で、上記のような超緊急対応ができない状態続いており以前より大きな問題となっています。
  • 残念ながら救命できなかった(病院死)した症例が15例あります。待機手術2例(心臓・胸部大血管症例1例、末梢血管症例1例)、緊急手術13例(全例心臓・胸部大血管症例)です。No refusal policyですので多くは術前ハイリスク症例、大動脈瘤などの破裂・ショック症例でした。

今後の取り組み

(1) ハイブリット手術室の整備と経カテーテル的大動脈弁置換術の導入

ハイブリット手術室の整備が決まり、今年中に経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)を導入予定です。これにより開胸手術が躊躇われた高齢者の重症大動脈弁狭窄症の患者さんにも治療の選択肢をご提供できるようになります。

(2) 継続して、患者に資するQUALITY の高い手術の実践

ハイブリット手術室が完成し、近々に経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)を開始予定です。これにより開胸手術が躊躇われた高齢者の重症大動脈弁狭窄症の患者さんにも治療の選択肢をご提供できるようになります。

低侵襲心臓・血管手術

 大動脈瘤に対する血管内治療 → より複雑な病変への対応
                枝付きステントグラフトの導入
 右小開胸による弁手術(MICS)→ 僧帽弁、大動脈弁
 下肢静脈瘤に対するレーザー治療(日光医療センター)

Qualityの高い手術

 僧帽弁・大動脈弁の弁形成手術
 重症心不全に対する植込型補助人工心臓(在宅プログラム)
 重症虚血肢に対する膝下、足関節レベルへのバイパス手術

(4)日光医療センターでは懸案であった透析室の新規設置計画も進行してきており、維持透析患者の受け入れも対応が可能になる予定です。また、大学病院からの紹介患者のみでなく地域の医療機関との連携、協力体制も強化して研究会、勉強会なども積極的に行っていく方針です。重傷下肢虚血患者の早期発見、早期治療はもとより、透析患者のブラッドアクセストラブルへの迅速な対応、下肢静脈瘤手術の待機期間の短縮も本年の課題です。

■他に経年的に継続して行っている取り組み

(5) mortality & morbidityの改善

(6) 患者さん達への啓蒙 -早期発見と早期治療へ向けて-

(7) 緊急対応の充実

最後に今年度も引き続きご指導、ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

■スタッフ:2013年4月~

主任教授 福田 宏嗣
准教授 山田 靖之
講師 緒方 孝治 =日光医療センター
講師 松下 恭  =日光医療センター
講師 柴崎 郁子
講師 井上 有方 =獨協医科大学越谷病院
助教 桒田 俊之
助教 堀  貴行
助教 小川 博永
助教 土屋 豪
助教 清水 理葉 =日光医療センター
助教 武井 祐介
助教 関  雅浩 =心臓血圧研究所附属病院 心臓血管外科研修
助教 桐谷 ゆり子=済生会宇都宮病院 外科研修
レジデント 加藤 昴